フィンガーレスホイッスル(指なし指笛)の吹き方

 

 

アイキャッチ画像はニンニク料理を食べた人を批難する画像ではありません。

27年度の猟期前のことです。僕は、山梨県の猟友から教えてもらった、鹿笛なるものを買いました。

Youtubeで動画を観て練習してたのですが、猟期になるとコールに反応しなくなるという話を聞きましたので、その前に一度くらい試してみようと、笛薄暗くなり始めた山へ試しに。

思いつきで行ったもんだからライトなんか持ってるわけもなく、呼び寄せてしまった茂みの中を移動する「何か」に心底怯えるハメに…。

この時の経験で、鹿は笛に反応する生き物だと確認することが出来たのですが、後日もう一つ面白い話を聞きました。

鹿は異変を感じたら、仲間に「ピィー!」と甲高い警戒音で知らせながら逃げます。この時に同じ様に返してやれば、逃げ出した鹿が立ち止まって振り返るということです。

「やっべ、なんか来た、逃げろ逃げろ!」
「ピィー!!」
「お、なんだ?仲間か?」
「ズドン!」

こんな感じでしょうか…?こちらが気付く前に走って逃げられても、鹿を止めることが出来れば射撃のチャンスも生まれます。

その話を聞いたあと、山梨県の山中で逃げる鹿に向けて指笛を吹いたことがありました。確かに一度立ち止まったのですが、それが笛の効果なのかはイマイチ疑問。

距離も離れていましたし、吹いた直後に止まったわけではなかったからです。

それでも二頭同時に止まったことに、少し可能性を感じました。指笛が宴会以外で初めて役に立ったとことも大事。

しかし、指笛だと銃から手を離さなければいけません。どうやら話の出処の人は指を使わない指笛を鳴らして鹿を止めるそうです。

指を使わないのに、指笛?なんじゃそりゃ。

 

Contents

フィンガーレスホイッスル(指なし指笛)

 

「デカい口笛」とか小学生並みの検索用語で調べても、目当ての答えに辿り着けるのは情報化社会のいいところ。

どうやら「フィンガーレスホイッスル」と呼ぶようです。別名「指なし指笛」。指を使わない指笛。

西部劇なんかで、馬や仲間を呼んだりするのに使っているのを観たことがあります。

下唇を噛んで鳴らしているような吹き方。動画もいくつか上がってます(今回紹介する動画は全て音量注意です

このお兄さん簡単そうに吹いていますが、やってみてもなかなか音が出る気配がありません。

この頃2週間くらい練習してみたんですが、全く音が出ることもなく諦めてしまいました。
それに、千葉県で鹿は登録したグループでしか獲ることができなかったので、習得したところで使えない技術でした。

ところが今年、千葉県でも鹿が全面解禁になり、単独猟でも鹿が獲れるようになりました。となると、習得してみようという気持ちが再燃。

一年ぶりに本気で取り組んでみたところ、1週間程で音が出るようになりました。

フィンガーレスホイッスルには、色々とやり方があるようですが、今回は僕が一番最初に習得したやり方を書いてみました。

 

どうして音が鳴るのか

 

まずはどうして音がなるのか調べてみました。参考にしたのはどこにでもあるホイッスルです。

 

 

 

笛に吹き込んだ息が、そのまま出ていく息と、丸い部分を回って出る息で共振を起こして音が鳴るようです。

カルマン渦とかいう現象のようですが、なるほど、わからん。

とりあえず、舌、口内、唇を使って、空気の通り道、丸い部分の空間、空気の出口を作ってやれば良いことはわかりました。

原理的なものがわかったところでいざ実践。

フィンガーレスホイッスルの鳴らし方

 

1.唇の形

まずは、笛の丸い部分にあたる空間を口の中に作ります。

上の動画を観てもらえばわかりやすいですが、顎を前に突き出し、下唇で下前歯を覆い密着させます。口角を少し上げるつもりで舌唇を横に広げます。

笑顔を作って下唇を覆い、頬の筋肉を脱力しても似たような形になります。

上の動画のお兄さんは、上前歯も唇で覆ってますが、そこまで意識する必要もないかもしれません。僕の場合は、上唇で前歯を全て覆ってしまうと音が出にくくなってしまいます。

2.舌の形

絵心なくてわかりにくいかもしれませんが…。

 

次に空気の通り道に当たる、舌の形を作ります。息は上顎と舌の上側の空間を通ります。舌を横に広げて、臼歯から犬歯くらいまで密着させ、舌先は下前歯の付け根付近に当てます。

最初は舌に余計な力が入ると思いますが、舌と上顎でトンネルを作ればいいだけなので、意識すればそんなに力まなくなります。

 

舌先は固定したままで、唇と舌の間隔や角度を調整しての付近に空気を集めるようなイメージで溜息を吐くくらいの強さで吹けば音が出やすいと思います。

舌の上を通る空気に、唇の内側に当てた空気をぶつける感じです。

音が出たら吐く息の強さや、口の開き方、舌の位置を調整しながら音程や音量を調整していきます。

さらっと書きましたが、これが難しいです。

まず、音が出ても同じように鳴らせるようになるまでかなり練習が必要でした。
コツがわかってくると、空気の流れを意識できるようになって、ある程度好きなように鳴らせるようになります。

ただ、指笛以上に鳴らすには、結構な練習が必要かもしません。大音量を一発で鳴らすことができる成功率は、僕もまだまだです。

 

下の動画も習得するのに参考にした動画です。僕のフィンガーレスホイッスルはこのオヤッさんに近いです。

こちらも参考になります。

また、上の方にも書きましたが、同じフィンガーレスホイッスルでもやり方が色々とあるようです。舌をUの字に丸めてみたり、舌先を前歯につけずに宙に浮かした状態で吹いてみたり。

口の中のどこにホイッスルの丸い部分の共鳴管を作るか、という話だと思いますが、色んな吹き方を試してみるのも面白いです。


 

以上が僕のフィンガーレスホイッスルを習得するまでのやり方です。

歯並びが悪いと鳴らしにくいという話もありますが、僕は歯並びはあんまり良い方じゃないので関係ない気がします。

フィンガーレスホイッスルは難しいですが、習得すると色々と便利だと思います。

犬を呼ぶことも可能でしょうし、もしなんらかの災害に巻き込まれてしまったときに、自分の居場所を知らせるのにも役に立ちます。

僕が指笛を習得したのも、自衛隊にいた頃にパラシュート降下で着地に失敗して、腰椎を骨折した事故がきっかけでした。

普段いつも持ってた笛を忘れてしまい、自分の居場所と異常を知らせることが出来ず、人がいるところまで自力で辿りつかなければなりませんでした。

フィンガーレスホイッスルであれば、例え両腕を骨折しても吹けますし、もしもの時に生存率を上げるスキルとして役立ちそうです。

僕のように職場で練習していると大顰蹙を買うことになりかねませんので、練習場所は良く選んで下さいね。