【単独猟】イノシシを待ち伏せ

 

日差しはまだ強いですが、ここ最近の気温は秋っぽくなってきました。
だんだん気温が下がっていくにつれ、猟期が近付いてきてるんだと実感できてワクワクしています。

もうすぐ、次の猟期というところで、また前猟期の話…。

このブログを始めたときに、思いつくカテゴリーを挙げていく中で、単独猟というカテゴリーも作りましたが、肝心の記事の方はボツにして記事の無いままだったので、単独猟失敗記事でも書きたいと思います。


グループ猟で知り合った先輩に、鴨の穴場を教えてもらいました。こんなところに池があったなんて!っていう場所です。
山に囲まれていてバックストップもちゃんとありますし、民家も近くにありません。鴨を獲るには最適な場所です。
肝心の鴨の姿は見当たりませんでしたが…。

獲物が居なくてちょっと残念でしたが、周りの風景を見ているとなんだか「ピーン」ときました。

「なんかイノシシが出そう…」

千葉でイノシシなんて、山の方に行けば珍しくもないのですが、ちょっと意味合いが違うんです。
前期、前々期と犬無しで単独猟をやってみて、何度かイノシシに遭遇しました。

当然いろんな場所で会うんですが、笹薮の中だったり、林の中だったりとなかなか狙いにくい、若しくは近づく前に気付かれてしまうような場所だったりします。

しかし、たまに原っぱみたいな場所で出会うこともありました。二人でイノシシ猟で書いたような原っぱです。

イノシシは警戒心が強い生き物だと言われています。しかし、どういう訳か昼間の原っぱを堂々と歩いてたりする個体もいたりします。
僕はイノシシの痕跡を探して、その辺りを渉猟するのも大好きですが、待ち伏せするのも大好きです。

よく通う猟場では、渉猟をして遭遇したポイントから、この辺りで待ち伏せしておけば出会うだろうと場所に目星をつけて待ちます。


待ち伏せのメリット

 

  • 射撃をする場所(バックストップの確保等)が選べる。
  • こちらが動くのは必要最低限で済むので獲物に気付かれにくい。
  • 歩かないので疲れない。

 


休みの多い仕事なので、出猟回数が必然的に多くなりますが、連日渉猟してるとちょっと疲れてきます。そんな日に今日は待ち伏せしよう!とか、歩いて疲れると休憩がてら待ち伏せしてみようかな、という感じでやり方を変えてみたりしてます。

デメリットは暇、動かないので寒い、空振りだった時の虚しさでしょうか。

待ち伏せする場所は、獲物を視認しやすい場所、安全が確保できる場所(バックストップ等)かつ、気付かれにくい場所(風下等)を選ぶので、遭遇したときに発砲できる状況というのは、渉猟よりも多いというのも個人的にはポイント高いです。
発砲したところで、射撃が下手なのでなかなか当たりませんけどね。

自分がここだ!って思った場所で待ち伏せして、予想通りに獲物が歩いてくる音が聞こえてきたときのドキドキ感が最高です。巻狩で追われたイノシシの足音とはまた違ったドキドキ感を味わえます。

話を元に戻すと、最初に感じた「ピーン」ときたのが、待ち伏せしてたらイノシシが出てきそう、という場所です。

経験が少ないのでどう説明すればいいのかわかりませんが、それでも今までの自分の経験から何か要因が一致したのでしょう。「勘」という言葉は便利だと思います。

猟場を教えてくれた先輩に、イノシシが出そうな雰囲気なのでここに通ってもいいか尋ねてみました。

先輩も「あ~イノシシね~、たまに見かけるね~。いると思うよ~。」とのこと。承諾をいただいたので3日後に訪れてみました。

 


2017/1/17
晴れ -0.8℃/9.9℃
風向:北北西 風速 :1.0㎧


 

実は先輩に案内してもらった日に、違う山でお気に入りのナイフを落としていまして…。この日もダメ元で探してたんですが、見つからず。おまけに途中でイノシシに遭遇したものの、構えるスキもなく逃げられたりとなんだか散々な一日。日没も近づいて来たので、気晴らしにと教えて貰った場所に向かいました。

現場に着いた頃には、日没1時間程前。近くの休耕田で作業をされてる方が居たので声掛けをしました。

僕は猟場の近くで人に出会うと、必ず声を掛けるようにしています。色んな情報が貰えますし、よそ者が来ていきなり鉄砲ぶっ放したんじゃ、トラブルに繋がりそうですから。

声を掛けた方は、この辺りを管理されているそうです。

イノシシが出そうなので、良ければ獲らせて貰えますか?と尋ねてみたところ、こんな返答をいただきました。

「どうぞ獲って下さい。山に入って下さい。山に人が入らないから、獣と人の境界が崩れる。田畑を荒らされて、農業を辞める人が出てくる。放棄した田畑から、獣がまた出て悪循環を辿ります。」

直接的な農業被害から、獲って下さいと言われたことはありましたが、こういった視点から言われたのは初めてでした。興味が沸いたので尋ねたところ、環境フォーラム等で講演をされているような方でした。色々とお話を聞かせてくださいました。

この出会いで、僕は狩猟の捕獲技術的なことだけでなく、野生動物管理についてより考えるきっかけになったのですが、それはまた別の機会に。

この方と別れたあと、待ち伏せポイントへ。日没30分前です。

 

 

目前に広がる、一見すると水たまりのような池は、トウキョウサンショウウオやイモリが生息しやすい環境を、先程お話した方が作られたそうです。こういった場所もイノシシが荒してしまうそうです。

千葉はあまり零下になることがないのですが、この場所は日が当たらないので厚い氷が張っていました。

いつもは渉猟をして目処を付けてからの待ち伏せですが、今回は初の猟場、しかも勘としか説明できないような根拠です。自信もなくてあんまり期待していなかったのですが…。

いつもつけていた時計のバンドが壊れてしまい、スマートフォンを取り出して時間を確認した時です。日没まで残り20分。

ふと顔を上げると、斜面に違和感。「あれ、あんなところに茂みがあったかな?」と疑問に思って見ていると動きました。

イノシシです。

こっちには気付いていない、バックストップも完璧、距離もさほど遠くありません。M870にハーフライフル銃身、サボット弾。おまけにしゃがんでいます。

外す要素が見つかりません。スマートフォンをポーチにしまい、弾を装填します。じっくり狙いをつけて、引き金を絞りました。

ぬかるみを気にしすぎて少し姿勢が悪かったようで、反動で後ろに倒れかけてしまいました。イノシシが左手の林を走っていく音が聞こえます。

血を追えば追えるだろうと、余裕ぶっこいて歩いて行きます。外す要素が見つかりませんから。余裕です。

ところが、イノシシが居たであろう場所まで来ましたが、全くもって血痕が落ちていません。んなアホな、と思いながら林の中も探したのですが、全然見当たりませんでした。

 

絶好のチャンスで外してしまったようです。自分でもびっくりでした。

 


 

後日、今度はMSS-20でリベンジに行ったところ、右手の原っぱをウリ坊が2匹遊んでいました。スコープに姿を捉えることが出来ましたが、当てる自信がなかったので発砲せず。

またチャンスはあると思っていましたが、その後猟期中にここでイノシシを見ることはありませんでした…。

射撃の腕を反省して、射撃練習に励むきっかけになった猟でした。