【単独猟】11月21日【閲覧大丈夫】

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鹿の単独忍び猟

千葉県は昨年度まで、狩猟で鹿を獲るのにグループでの登録が必要でした。届け出たグループは抽選で選ばれた後、講習を受講することで鹿を獲ることが出来るシステムです。

それが、今年度は全面解禁。1人で鹿が獲れるようになりました。

単独猟で狙える獲物が増えたのは嬉しいのですが、よく行く猟場では、イノシシは出るのものの、鹿の姿は片手で数えられる程しか見てません。なので、今期の下見は″シカのため″の猟場探しに重点におきました。

見つけた猟場は、歩き始めて5分もしないうちにシカを発見。日を開けて再度訪れたところ、鳴きながら逃げられるも、連続の遭遇に期待大。今期はとりあえず、この周辺を攻めることにしました。


2017/11/21

天候:晴れ 気温:3℃/11.4

最多風向:北西 平均風速 :4.7㎧

新規猟場での初陣です。下見はしているものの、まだ未到達の場所があるので、まずはそこを目的地に進みます。

出発時、あまり意識はしていませんでしたが、都合良く向かい風。道は昔に土砂崩れでも起きたのか、ガレ場のようになっています。下見の時は15分で下った道を、40分かけて音を立てないようにゆっくりと歩きました。

途中から腰程の藪に入って行くのですが、ここでも音を立てないように、風で周りの草が揺れるのに合わせて前進。

風が止めば歩みを止め、ついでに周囲の観察。

SLLS(シルス)という動作

自衛隊時代に教えてもらったことで、単独猟を始めて自然と実践したものに、SLLS(Stop,Look,Listen,Smell)という、米軍の偵察行動において基本的な動作があります。僕らは「シルス」と言ってましたが、「止まって、見て、聴いて、嗅ぐ」というそのままの意味です。これが単純なようで、深い。

このSLLS、野生動物の行動に習っているそうですが、確かにそんな動きをしてるなぁと。ハンティングはこのSLLSの基となった野生動物が相手なのだから、闇雲に動くより、相手と同じ動きをするのは理にかなっていると思います。肉食獣も同じ動きをしてるんでしょうし。

如何に早くその兆候を掴むか。動いているより、止まっているほうが有利です。それは相手が人だろうと獣だろうと変わりません。敏感さは獣の方が上です。

自分の気配を感じとられるより早く、獣の気配を感じとる。

千葉は視界の悪い猟場が多い印象です。木や草で獲物の姿が見えにくく、忍び猟をするには、「止まって聴く」というのは特に重要な気がします。

歩いて、止まっての間隔は、地形や周囲の状況に応じて変えてますが、このバランスが難しい…。細かくすれば、それだけ発見しやすくなりますが、時間が掛りすぎます。大胆に行けば、早いですが発見されやすい。

ミリタリーなSLLSの話はジャンル違いなので置いといて、単独忍び猟におけるSLLSの要点はハイキングハンティング.txtのリロさんの記事、「犬無し単独猟忍び猟について その1」「その2」がわかりやすくて、参考になると思います。

僕は、獲物があそこにいそうだとか、そういうのは何となくわかるんですが、なぜそう思ったのかうまく説明出来ません。

恐らく遭遇した経験則に基づいて判断してるんでしょうけど、勘といえばそれまで。それを説明出来るようになるまでが、当面の課題です。できなければ多分、前世はイノシシ。

そんな適当にやってる僕も、最近なんとかコツを掴んできたようで、獲物に気付かれる前に姿を見つけられることが多くなってきました。

「ひょっとすると今期は一度も獲物に気付かれないことも?」なんて考えて歩いてたら、「ピャッ!!」とシカの鳴き声。いきなりバレました。

約5メートル先の灌木の中で動く影。そういえば、下見で来た時にもこの辺りで鳴かれましたが、まさかこんな灌木の下に居るとは思いもしませんでした。

シカが隠れていた灌木

シカと猟期初遭遇

慌ててポーチから弾を2発抜き、鹿の逃げた方向を目で追うも、灌木で見えません。逃げた方向から考えると、必ず尾根付近に出てくるはず。斜面を探していると茂みからチラチラとシカの姿が見える。全部で3頭。弾を装填し、スコープを構えるが…、うーん、狙えない!

木の葉や草で、しっかりと姿が捉えられません。落ち着いて鹿の進行方向を確認してみると、進行方向の先にある、木々の隙間から狙えそうです。距離は100メートルもない。(後にレンジファインダーで確認したところ、78メートルでした。)

シカの移動経路

しゃがむと手前の灌木でシカの姿は見えなくなりそうですし、依託できるような木もありません。立射で狙います。バックストップもOK。

一頭目に発砲、廃莢・装填。二頭目は見逃し、三頭目に発砲。

「中ったかな…?」と期待するには乏しい程、ノーリアクションで走り去って行きました。

鬱蒼と茂る藪から、逃げた斜面へと上がる行程を考えるとゲンナリしますが、発砲したからには命中の有無を確認しなければ。

予定ではもっと奥の場所でのんびり待ち伏せしようと思っていました。それに、今朝は寒かったのでいつもより厚着。早速後悔することに。シカを撃った場所に着いたころには体から湯気が出る程の汗。獲物に弾が中った形跡も見当たらない。

念のためしばらく鹿の足跡を追いましたが、段々と傾斜がきつくなってきた上に、前日の雨で地面はぬかるんでトレッキングシューズでは滑りやすい。軽アイゼンは車の中でお留守番してます。これ以上は危険と判断して尾根を下りました。

盛大に発砲してしまったし、別の山に行こうかと考えましたが、目的地まで至ってないので再び前進することに。

もう近くにシカはいないだろうと、普通に歩いて藪を抜けて川原に到達。少し休もうとベストを脱いでる最中に、30メートル先をシカがひょっこり現れ、白いお尻を見せながら逃走。

銃を構える気力も無く、ただ見送るだけでした。

そこから少し歩いて、目的地に到着。

疲れ切って、休憩がてらここで3時間程待ちましたが、何も出る気配はありませんでした。それでも、この場所は良さそうです。そこら中に足跡があります。ただ、道中はガレキのような石ばかりなので、音が出るのは避けられそうもありません。

侵入経路を変えることでも到達出来そうだけど、そこまでの地形を考えると、その途中でシカに逃げられる可能性の方が高そう。

前日入りして、夜明けから待つ等の工夫が必要かもしれません。それはそれで楽しそうです。

色々と悩ましい点はありますが、思いつくアイデアは全部試して、ここで鹿を獲ることを、今期の目標の一つにしようと思います。