2018年1月4日
天候:晴れ
気温:-2.5℃/9℃
最多風向:北北西
平均風速 :1.4㎧
使用銃:MSS-20
最初はヤマドリ狙い
勤務明けで、ゆっくりめの出猟。主にヤマドリ狙いで沢を歩いてみようと、最近お気に入りの猟場へ。
鹿場から、更に車で20分程進んだ猟場です。ここは今まで入った猟場で断トツの険しさ&複雑な地形をしてまして、通い始めてしばらくはウンザリしながら歩いてたのですが、回数を重ねるごとに地形が把握出来てきて最近やっと楽しくなってきました。
両手を使いながら尾根をゼーゼーと言いながら登りきったら、目の前に切り立った崖が立ちはだかったり。
比較的緩やかな尾根を下っていくと尾根裾が崖だったりと、何度引き返したことか…。
この辺の地域で遭難がたまにあるから気をつけて~と所轄から言われたことがありますが、納得です。途中から険しくなって身動き取れなくなったり、同じような沢が何本もあるんでわからなくなっちゃうんでしょうね。
そんな猟場を少しずつ開拓していくうちに、沢で何度かヤマドリに遭遇しました。
猟期始めから兎に角シカが獲りたかった僕。20番の散弾を持ち歩いていなかったので、いつも歯痒い思い。
そんなことが続いて、やっと20番の散弾を購入。千葉県はヤマドリの猟期が短いので、こっちを優先させるべきだったかもしれません。
この日は複雑に別れてる沢を行ったり来たりしてみたけど、いざ散弾を用意するとヤマドリが出てこないというマーフィーの法則的な何かが発動。歩き疲れて、早目に切り上げようと披露困憊で尾根を登り切ったら目の前の木からヤマドリが滑空していきました。思わず吠えそうになりました。
茫然とその場に座り込んで、息を整えてたら聞こえてくるガサガサ音。まさか、さっきのヤマドリが帰ってきた…?にしては、音が大きい。
音の出所を探したら足元の谷、30メートル程下をイノシシが歩いてる。しかも1頭、2頭…、いや6頭はいる!団体さんのご案内!
ゆっくりスラッグ弾を込めて、一番手前のイノシシの頭に狙いをつけて発砲。
反転して元気に逃げてくイノシシ!
また外したのか…。
命中したのか確認をするため、谷を慎重に下りて痕跡を探すも、何も見つからず。
走って行った方に下っていくと、右手の尾根から足音が聞こえる。なるべく音を立てないように、かつ急いで尾根に上がるも姿は無し。あんなチャンス滅多にないのに…。それでも、逃げたイノシシが物音を立てないかと耳をすませてみたら、再びガサガサと足音がする。
イノシシを追って歩いて来た方、つまり僕が発砲した場所の下付近で黒い影がゴソゴソ動いてる。
で、デカイ!こんな大きいのは久しぶりに見ました。余裕で100kg越えてそう。
銃声はこのイノシシにも聞こえてたと思うのだけど、気にもしてないのか…?
滅多にないチャンスが数分後に再びやってくるという状況に興奮しつつ、同じ轍は踏まんぞ!と再び弾を装填。今度はバイタルを狙って発砲。しかし、これが良くなかった。
発砲直後に谷を転がり落ちてくるイノシシ。そのまま立ち上がると直立不動で微動だにしない。
「当たってないのか?」
もう一発弾を込めて狙いをつけたところで、突然斜め上に向かって走り始める。もしかしてこっちに来る!?
慌てて更にバイタルに撃ち込むと再び谷に転がり落ちるイノシシ。先程より少しゆっくりと起き上がると、今度は谷を下って行きました。確実に命中したような手応えがあったのに、何事もなかったかのように逃げて行きました。
イノシシの後を追うと、撃った場所の少し先で点々と落ちた血痕を発見。
命中したことに安堵して、更に追うと今度は気泡混じりの多量の血が落ちている。肺に命中したのだろうか。
ポツポツ、ドバッと繰り返すように落ちた血痕を辿って行くと、途中から全く血痕が無くなりました。
尾根を登ったのか、下ったのか、谷を越えて隣の尾根へ行ったのか…。付近を登ったり下りたりしながら捜索しましたが、全く手掛かりが見つかりません。
そうこうしている内に辺りは薄暗くなってきました。気がつけば日没、銃は使えない。
諦めて近くの尾根を登っていると、右隣の尾根から逃げる足音が聞こえる。追いかけようか悩みましたが、暗く、足場の悪い斜面。手負いとは言え、この状況でイノシシに剣鉈で挑むことは無謀だと思い、そのまま尾根を登りました。突進なんて喰らった日には、イノシシと共に谷底です。
命を獲りに行くのに同じ土俵に立ってない。卑怯と言われようと、不利な状況で命を賭してイノシシに挑む勇気は僕にはありません。
翌日も捜索
翌日Y作さんにも応援を頼み、再度猟場へ。生きてるならとどめを刺してやりたいし、死んでいるなら肉を持って帰るつもりでした。何とか見つけたいところでした。
途絶えた血痕の先を探し、ようやく新たな痕跡を見つけましたが、途絶えた場所から200メートル程行った先で再び途絶えました。
その後、雪がチラつき始めたので捜索を中止。結局、イノシシの行方を知ることはできませんでした。
あれだけの血を流しながらあの距離を逃げたイノシシの生命力に言葉を失います。
狩猟をやってると、半矢はどうしても避けられないことなんでしょうが、できることなら無くしたい。半矢というのは同じ「獲物に逃げられる」という結果でも、外したこととはまた違う、悔しさが残ります。
あの時頭を狙っていれば結果も違ったのかもしれませんが、直前に外していたのもあってとても狙う気になりませんでした。
不要な苦しみを与えない為にも、射撃の腕を磨こうと思った猟でした。