なんだかうまくいった猟の話

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今猟期の集大成のような一日

先日、今期初のイノシシがようやく獲れたのですが、その過程が今期の狩猟の集大成のような猟でとても満足できました。

今回はその過程の話をしたいと思います。

理想の猟場が見つかった

今猟期は以前にも書いた通り、結婚&出産で昨年度までのようになかなか思うように猟に出られません。

幸いにも獲物には恵まれたものの、イノシシだけは獲れず……。チャンスは何度かあったもののことごとく外してしまい、もう今期は諦めようかと思ったほど。

そんな中、何気なくGoogleマップで猟場付近を眺めていたら、以前から気になっていた場所へ続く道を発見。この場所はちょうど点在する猟場の中央付近の位置で、山越え谷越えで到達するには、最近の僕のスタイルだと遠すぎる場所でした。

見つけた翌日に本当に辿りつけるのか、半信半疑で現地へ向かいました。道路の入り口が民家へ続く私道のような道で不安になりましたが、無事林道に繋がってました。Uターンするようなスペースもない林道をトコトコ走らせ、見えてきたのは休耕田。その脇に車を止めて、ジオグラフィカで地形を確認して目当ての尾根への入り口を探しました。

目の前の沢を越えた対岸が緩やかな傾斜になってるようで登りやすそう。

沢を飛び越え、山の入り口へ。人が出入りしたような形跡はなさそうです。少なくとも薬莢は落ちてません。そのまま背尾根まで登り、忍び猟開始。

僕は普段からよく尾根を歩きますが、初めての猟場でもほぼ尾根歩きです。この辺りの地形は下手にトラバースすると、とんでもない崖に出たりして気力と体力を削がれることがあります。

尾根を歩くメリットは他にもあって、風が通りやすいからか落ち葉が少ない、尾根上を這っている木の根の上を歩くことで足音を小さくできる、撃つ時は撃ち下ろしになるのでバックストップが確保されやすい、基本的に尾根上を往復するので迷いにくいという点です。

主尾根まで登ってわかりましたが、良い。すごく良い。そこら中にくっきりはっきり獣道があるし、真新しい糞も沢山。しかも僕の好きな猟場に植生や地形が似ています。

この辺じゃ見ない景色の山です。植生や地形が似ているということは、獲物のいる場所も大体似たような所になりそうな気がします。

ワクワクで尾根上を歩き始めて20分、右側の斜面をガサガサと音をたててシカの群れが上がってきました。そのまま群れは僕の15m後方くらいで尾根を跨いで反対側の斜面へ。

まだ猟場を探索し始めたばかりですし、撃とうか少し迷いましたがお肉も欲しい。

その中のなるべく小さめのヤツを狙ってとんとん、とネックを狙って二発。

力無く斜面を転げ落ちて行くのを確認して、薬室から薬莢を抜こうとしたその時。

銃声に驚いたイノシシが数頭走りだしました。

急いで装填するも、藪に飛び込まれ、音はするけど姿は見えず。そのまま遠ざかっていく足音を聞いてました。

チラリと見えたお尻が魅力的だった。

ま、シカはゲットしてるし、まだ猟場の探索したいし、悔しくなんかないもん!と自分に言い聞かせ……。

猟場の入り口の沢まで引き出して、冷やしている間にもう一度探索することにします。

パラコードをかけて尾根の上まで引き上げ、尾根伝いに戻っていく途中にまた別のシカの群と遭遇。3頭ほど走りだしたのを確認して、逃走していく経路を観察していると何か気配が。双眼鏡で確認してみると、木化けしたシカがそろりそろりと逃げて行くのを発見。バレバレすぎて笑ってしまいました。

シカに鳴かれた時、近ければ走り寄るのもありかもしれませんが、じっと観察していれば逃げ遅れたシカがひょっこり出てくることもよくあるので、鳴かれても気を抜かないことは大切だと思います。

結局この日の猟場探索は半分ほどすすんだところで終了。

今期から本格的な運用を始めた背負子システムも使用。改良が必要な点も見えてので少し変更。

2回目の出猟

ここの猟場では100m前後で狙えそうなシチュエーションが期待できたので今回はMSS-20を持っていくことにしました。

今期は出番が少ないMSS-20。初猟日に担いで出たものの、その重量にうんざりして2700MCばかり。その2700MCも00B弾を使っていると、狙いが雑になってきているように感じたので気分転換にもいいかと思いまして。

前回見送ったシカが木化けしていた場所の近くに到達。主尾根の小ピークを避けてトラバース、枝尾根からそっと顔を覗かせると40m程先で雄鹿が寝ているのを発見。そのまま立射で狙うも外してしまいました。GRSストックに交換してから意識しないとガク引きが増えてしまったような……。

発砲したらその猟場でのその日の猟は終わり。猟場の移動が前猟期までの僕のセオリーでしたが、今期からは気にせず継続することにしました。

シカもイノシシもあんまり気にかけてない気がしてます。発砲後も普通に遭遇するので、猟場移動をする時間がもったいなく感じてきました。

絶好の機会を逃しましたが、ここの猟場ならまたチャンスがあるはず……。

根拠のない自信でしたが、そう感じさせてくれるほど良い猟場なんです。

実際にこの後、足元で寝ているイノシシを発見しました。寝屋がありそうな雰囲気だな~と思っていたら案の定。さっさと撃てば良かったんですが、色気を出してGoProの録画ボタンを押そうと手を伸ばしたところで走られるというオチ。

追っかけて茂みの切れ間を狙って撃ちましたが……。外れ。無念。

久しぶりに悔しいと思いました。ほんと夢に出てきそうだった……。

今期初のイノシシを獲る

前回のイノシシが獲れなかったことがどうしても悔しくて、今回は絶対イノシシを獲ってやる!とという意気込みで出猟。

強い、鋼の意思を持って挑みました。

そういう時に限って、寝てるシカだとか木化けして棒立ちのシカに出会うんですよねぇ……。

撃つか本当に迷いました。

これ撃っても急いで解体したら、もう一回いけるんじゃない?

なんて考えるんですが、時間的な余裕はあっても恐らく集中力が続かない。

寝てるイノシシが視界に入れば見落とさない自信はありますが、集中力あってのもの。

できないけど、見なかったことにしてイノシシを求めて歩きました。これで見つからなかった日にゃ……。

前回、足元で起こした場所に到着。そう都合よくは居ませんが、この先にも似たような地形と植生が続きます。

絶対居るはず。諦めず、集中して歩きます。

探索しきれていない猟場の最奥付近に近づいてきたところで視界に違和感が。

20m程の崖下に丸太が転がってます。

マジでいた。

いやー、勘みたいなもんだと思ってましたけど……。経験って大事ですね。

双眼鏡で確認したらぐっすり寝てます。

静かに弾を込めて、GoProの録画を開始。動きで悟られないようにゆっくり頭を狙って引き金を……。

カチン!

っと予定外の金属音が響きました。ボルトが完全に下がりきってなかったようです。

あ、詰んだ。

と思いましたが、逃げてない。気付いてない?

ゆっくりとボルトを上下してスコープを覗くと……。

バッチリ目が開いてますね、目が合いました。

と同時に、僕の指先は引き金を絞り……、今度は無事に響きわたる発砲音。

撃った後のイノシシの反応で命中を確信。

ほっと一息……のはずが、暴れだすイノシシ。弾を装填してスコープを覗くも、灌木が邪魔してうまく狙えない。そのまま崖を転がり落ちて行ったので少し時間を置いて探しに下りました。

パラコードを補助ロープにしつつ、崖を下っていくと、撃った場所から30m下方でイノシシを発見。直前にあった倒木に激突した痕跡があったので、これがトドメになったのかも。

持ち上げた感じ30kgくらいのメスでした。単独猟ならこのくらいが持ち帰りやすくて好きです。お肉も柔らかいし。

後の解体でわかったのだけど、弾は脳の一部と頸椎を砕いていました。

イノシシは本当に矢に強い生き物です。その生命力にいつも驚かされます。

ようやく獲れた今期初イノシシ。絶対美味しく食べたい……!

背負子システムで搬出

背負子システムを取りに戻る時間がもったいないので、手持ちの道具で水辺までひっぱり出すことにしました。

30kg程度とはいえ、800mを一人でひっぱるのはなかなか辛かった……。

いい感じの、滝のような場所を見つけたのでそこにイノシシを浸けて、冷やしているうちに背負子システムを取りに戻りました。

背負子システムを背負って戻り、急いで腹出しして再度冷却。内臓の残滓を埋めて、特大のポリ袋をイノシシに被せて背負子に載せて解体場所まで移動。この使い方を想定しての背負子なんです。イノシシを丸ごと背負って移動させたかった。ミステリーランチのメットカーフじゃさすがに気が引けるし、イノシシ積んで壊れた日にゃしばらく凹みそうです。

解体場所に移動して、二本の杉の木にスリングを巻いてイノシシを吊るし、解体開始。

久しぶりのイノシシ解体で手こずってるうちに日が落ちてきましたが、明るい作業灯のおかげで何とかなりました。

結局辺りがどっぷりと暗くなるまでかかってしまいましたが快適に解体作業ができました。

最高の猟だった!

こうして今期初のイノシシ肉をゲット、しかも柔らかい雌猪の肉です。

最高の猟場へ至る過程から、これまでの経験を活かした寝屋の特定、試行錯誤しながら考えた搬出方法、全てが思い通りにいった猟でした。

前猟期から寝屋で撃つ方法が自分の求めるスタイルだと思ってやってきましたが、やっぱり性に合ってるようです。

今後も(基本は)寝屋狙いで腕を上げていきたいところだと思いました。

目指せ夜這いハンター!