【閲覧注意】忍び猟体験ツアー

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新米ハンターの友人を連れて忍び猟へ

今期めでたくハンターデビューした友人、「たつさん」を連れて「忍び猟体験ツアー」をやりました。

今回のきっかけは、たつさんからお誘いを受けたことからだったんですが……。

僕は共猟するなら気の合う友人で、射撃会なんかで銃の取り扱いを見ている人とじゃないと気乗りしないので遠慮したいところ。
更に自分の猟場となると信頼できる人で、且つ猟場の地形から体力もある人でないとちょっと無理。

たつさんについては何度も射撃でご一緒してますし、よくお酒を飲む仲間でもあります。体力もゴリラ並みなので二つ返事でOK。

できれば獲物を撃たせてあげたいところですが、そうなかなか上手くいかないのが猟の難しいところ。まずは忍び猟がどんなものか、雰囲気でも味わってもらえたら……という趣旨で同行してもらうことに。
それでも、わざわざ東京から千葉まで来るんですから、せめてお土産だけでも持たせてあげたいとは考えていました。

平日の道路の混雑状況を考慮してなくて、8:00に待ち合わせしたのに8:30に到着する失態。平謝りの僕を快く許してくれるナイスガイ。ちなみに本人は遅れないようにと7時過ぎには現着していたという……。

荷物を僕の車に移し、猟場へ移動開始。車内で注意事項や迷った時の段取りを説明しつつ、バカ話をしながら猟場へ。

独りのときとはまた違う楽しい時間を過ごしました。

猟場に到着

今期は初めて来る猟場です。台風の影響でどれほど荒れているかわかりませんが、比較的歩きやすい山道なのでまだなんとかなる……、ハズです。

軽く歩き方と忍び猟をするときの注意点のレクチャーをして、忍び猟を開始。

たつさんには僕の30mくらい後ろをついてきてもらいます。固まって歩けばそれだけ気取られやすくなるのもありますが、これだけ距離があれば獲物が走ったときに撃てる可能性もあるかなと。

念の為二人ともデジタル簡易無線機を持っていますが、お互いにはぐれたと認識したときに通信できればいいので、僕の方は電源すら入れてません。
できるだけ普段の忍び猟と同じようにと、インカムもつけたくなかったのです。

猟場の方は三ヶ所、倒木が進路を塞いでいたものの、通れないほどのものじゃありませんでした。歩きやすいのが売りの猟場だったので一安心。

これで獲物でもいてくれれば最高なんですが……。

……と、早々に谷で食事中の若い雄鹿を発見。銃をゆっくりと向けましたが、こちらに気付く様子もありません。

うーん、たつさんに見せてあげたい……。

けど、まだ結構離れているし、こちらを見てもいない。ここまで来るまで待つか……。

でも、その間に逃げられたら……。

解体もさせてあげたいし……、でもシカもまだこっちに気付いてないし……。

と、一瞬でいろんなことを考えましたが、

結局撃ちました。

開始30分で獲物GET

シカが倒れるのを確認し、振り返るとたつさんのビックリした顔。

「獲ったよー」と告げて、谷を指差します。たつさん、獲物としてはじめてシカとご対面。

ちょっと難儀な場所で獲ってしまったので、ロープを伸ばしてシカの元へ。

今回初めて使った12粒ですが、弾はネックと頭に5発程当たっていました。射入創は小さいですが、30mの距離でも首の骨を砕く程の威力はあります。距離的にも使いやすい弾です。バックショットは僕の猟法と猟場に合ってると改めて思いました。

僕のナイフをたつさんに渡し、血抜きの方法を教えました。谷の傾斜を利用して、シカの頭を下に向けることで血が流れていきます。

沢が近くにあれば冷やすのですが、近くにありません。谷の傾斜もきつく、単独であれば引き上げるのも諦めて現地解体するところですが、初めての解体体験です。足元がしっかりした場所でやらせてあげたいところ。

頑張って二人で上まで引き上げて解体することにしました。

車まで解体道具セットを取りに戻り、背負子システムも初出動。とりあえず思いついた物をポケットに詰め込んだだけですが、大丈夫だろうか……。

解体体験

再びロープを伝って谷へ降り、シカの首にロープをかけて引き上げます。

たつさんのロープワークが上手で、すいすいと上げることができました。ロープワークは使わないと忘れてしまいがちで、いざ使おうと思ったら「はて……?」なんてこともあるので、見習いたいところです。

シカを谷の上まで引き上げましたが、回収困難な場合に現地でやっている解体方法で教えました。部位は背ロースと腿、タンの取り方も伝授。

解体って初心者にとってひとつの難関だと思っていますが、たつさんは怖じけることもなく解体をすすめていたので、一人で胸を撫で下ろしてました。

どうしても血や内臓が苦手って人はいますからね。僕も苦手だったけど、狩猟をやると決めた年に魚を捌くことから徐々に慣らしていくことで、なんとか、というところでした。

魚の内臓も苦手だったのに、シカの内臓が平気になるんだから慣れって不思議なものです。

最後に残滓を埋設して終了。一旦肉を置きに車に戻って、昼休憩。

解体も経験させてあげられたし、あとはたつさんが撃つ機会もあればと、2ラウンド目に突入。

しかし、下る尾根を一本間違えて、前猟期に断念した滝の下流に出てしまいました。台風で景色が変わってて気付けなかった……。

気合い入れて頑張れば登れないこともないけど、銃を担いで登るのは危険が危ないので辞めました。せっかくなので下流を探索してみましたが、特にめぼしい点もなかったので元来た方向の山を登ることに。

反対側の山はどう頑張っても無理。

この右の谷底をうろうろしてました

尾根を登り返してる最中にシカを数頭見かけましたが、残念ながらたつさんのほうからは見えなかった様子。

知っている経路に戻るまで思いの外時間がかかってしまったので、車に戻った時点で体験ツアー終了。たつさん発砲ならず……。

体験ツアーを終えてみて

なんとか獲物が獲れて解体を体験させてあげることはできたけど、できれば生きた獲物の姿を見せてあげたいところでした。

「カカシさんが見落としたヤツ撃ってやろうと思ってたのに〜」なんて抜け目のないことを考えてたあたりが、たつさんらしい(笑)

とはいえ、人を連れての忍び猟の難しさはわかっているので獲物が獲れただけでも儲けもの。その点はたつさんラッキーだったかな。

これがもし犬無し巻狩りだったなら、撃つチャンスを作ってあげられたかもしれません。どこの猟場でも単独忍び猟の視点だけでなく、タツをどこに立てるか考えながら歩くことで、また少し成長できそうな気がしてきました。

新しい課題を得たような、そんな一日でした。