6月のある日の千葉県営射撃場でのことです。
この日、僕は新米猟師さん、ふくすけさんとエアライフルの射撃に行きました。
遅れて到着した僕は、挨拶もそこそこにポンピング開始。前々から怪しいと思ってましたが、この日S510がエア漏れしていることが確定。購入してちょうど1年くらいですが何度か分解もしてるし、撃った弾数も3000発を越えたので仕方ないのかなぁと。
想定より下回ってるゲージを見て、うへぇと思いながらポンピング。段々と圧がかかってきたなと思ったところで「ポン!!」っという音とともに何かがすっ飛んでいき、液体が周囲に飛び散りました。
見るとポンプの圧力計付近から透明な液体が流れ出てます。
奇声を上げながら慌ててポンプを寝かせて、状況を確認。
流れ出た液体は圧力計内のグリセリンのようです。激しい振動や脈動下での圧力計の正確性向上と保護の為に入っているものです。因みに舐めると甘い。
圧力計のグリセリンが吹き出したならば、内部の損傷で圧力がかかったということ。ブルドン管に穴でも空いたんでしょうか。
…ダメとわかってても試さざるを得ない。
そして再びポン!!という音とともに飛び散るグリセリンを泣きそうになりながら拭き上げました。
Contents
初めてタンクを借りる
空気の無いエアライフルなんて文鎮にもなりません。50メートル先の的に向けて据銃練習しながら「これが本当のエアライフル」なんて自虐的な笑いを取ろうかと思いましたが、我慢してた涙が溢れそうなのでやめておきました。
ガックリと項垂れた僕を哀れに思ったのか、ふくすけさんからタンク貸しましょうか?という、ありがたい申し出。
コネクターの形状は違いますが、僕のポンプのホースと繋ぎ変えれば使えることが判明したので、お言葉に甘えて使わせていただくことにしました。
もうね、わかってたんですよ。タンク使うと元に戻れないって。わかっているから避けてきたんです。導入コスト、ランニングコストを考えたら汗水垂らしてポンプする方が良いと。
ポンプ筋を鍛えるためだと自分に言い聞かせてきました。
結局その日はお言葉に甘えるどころか、我がタンクのように使い倒させていただきました。バルブ開いたら数秒で充填完了ですよ。
その日の射撃が終わる頃にはすっかり虜に。もうポンプなんて重労働無理!
ふくすけさんに色々と教えてもらって、その日のうちに某オークションでタンクを落札しました。
タンクの選び方
いざタンクを買おうと思っても、一体何から手をつけていいのやら…と、知らなければ手を出しにくいところですが、幸いにも仕事でタンクを扱うことがあるので多少の知識はあります。
なので、そんなに悩まず購入できました。
エアライフル用のタンク選び方は、材質、充填圧力、容量から自分に合ったものを選びます。
タンクの材質は鋼製とカーボンFRP製が主流です。それぞれの特徴を比べてみます。
鋼製タンク
・耐圧検査は5年(1989年4月以前の製造のものは3年)。
・耐圧検査に合格する限り使用できる。
・重たい
カーボンFRP製タンク
・耐圧検査は3年
・製造から15年経過でクズ化(廃棄)
・鋼製タンクに比べて軽い
僕のおススメは鋼製タンクです。エアライフル用にカーボンFRP製タンクを選ぶメリットはあんまり無いように思います。軽いというメリットは空気呼吸器など、タンクを長時間背負って活動する時ぐらいかと。鋼製タンクより軽いって言ったって、家から車、車から射場ぐらいの移動です。
そんなに優位性があるとは思えません。
あとは車に積載中、事故を起こした時を考えたら…。鋼製の方が安心な気がします。
耐圧検査は期限が切れたからすぐ受検しないというものではなく、次回の充填時で大丈夫。
ただし、カーボンFRP製タンクの15年経過したものは問答無用で使用できません。15年経ったらお金払って廃棄処分です。ツライ。
充填圧力
タンクにはTP(テストプレッシャー)、FP (フルプレッシャー)の刻印が打ってあります。
TPが耐圧試験圧力、FPが充填圧力なので選ぶ際はFPを目安にします。
主流は150、200、300気圧でしょうか。最低でも200気圧は欲しいです。欲を言えば300気圧。
ちなみにタンクの充填圧力は充填時の周囲の温度によって充填量が変わる (例えば冬に満充填してしまうと、夏に使用圧力を越えてしまうので少なめ)ので、その辺りも念頭に置いておかないと思い通りの運用にならないので注意が必要です。
タンク容量
使用量や保管場所などの兼ね合いで選べば良いと思います。容量が大きくなれば重量も場所も取るようになるので。
僕は大きければ良いと思っています (笑)
バルブ
バルブの種類も色々とありますが、Kバルブを選んでおけば問題ないと思います。
以上が僕のタンクの選び方でした。僕のように中古タンクを買うつもりであれば、更に注意が必要です。
鋼製タンクで言えば、周囲にヘコミやサビの無い物。特にサビについては、外観を塗装で誤魔化してて、内部がサビサビなんてこともあります。
耐圧検査にいきなり通らず、使うことなく泣く泣く廃棄するなんて目に遭いかねません。
KHK(高圧ガス保安協会)の刻印が無いと充填してもらえませんので、その当たりも注意しましょう。
信頼できるお店で中古を買うのが吉です。
僕はギャンブラーなので某オークションです。安いは正義。
そんな感じで、某オークションで見つけたタンクは使用圧力220気圧、容量11.4リットル。
使用圧力が220気圧って珍しいな~と思い落札しました。使用回数も200気圧より増えますし、ちょっとでも圧力が高い方が良いです。
(300気圧の中古は某オークションでもなかなか出てきません)。
届いたタンクの見た目は綺麗そうでとりあえずは安心。
本当は300気圧が欲しいところですが、僕のS510のレギュレーター設定圧が低めなので220気圧でもそこそこ使えそうかと。
製造年が1988年なので耐圧検査が3年毎なのは残念ですが、最初のタンクですしテスト導入には充分と自分を納得させました。
こういう自己暗示は得意です。
オークションの落とし穴
さて、届いたタンクは耐圧検査期限切れ。仕事で耐圧検査に出す時は、タンクに荷札かけて「耐圧検査お願いしまーす☆」の一言ですみますが、自分で耐圧検査をしてくれるところを探さねばいけません。ダメ元で職場で依頼している業者さんに尋ねてみましたが、法人のみという返答でした。
製造年が古いと受け付けてくれない検査所もあるのそうなので、心当たりのあるところにメールで問い合わせたら問題ないとのこと。
ついでにレイちゃんねるのレイぽすさんの検査切れタンクも預かり一緒に持って行くことに。
そのやりとり中に驚愕の事実が判明しました。
アルミ…?アルミ製なんかあるの…?
試しに磁石を近づけてみたらポテっと落ちました。アルミっぽいですねぇ…。
レイぽすさんの反応 (元潜水士)からなんかマズいのかと思って調べてみたら以下のことがわかりました。
アルミ製タンク
・耐圧検査は5年(1989年4月以前の製造のものは3年)。
・年一回、バルブ取り付けネジ部の検査が必要。
・熱に弱い(らしい)
やっちゃった…。
職場では鋼製とカーボンFRP製のタンクしか扱ったことがないもので、アルミ製なんてものが存在していることすら知りませんでした…。
何となく出品者から早く売りたそうな雰囲気が感じ取れたんですよ。商品説明にも材質書いてないので色々考えちゃいましたが、自己責任なので仕方がない。
アルミ製が敬遠されるのは過去に破裂事故を起こしており、そのため年一回内部の目視点検が必要なようです。これは検査所じゃないと出来ません。
余計な手間と出費が…と落ち込みかけましたが、耐圧検査と同じで期限が切れても充填時に検査ということなので、そんなに手間でもなさそうです。検査料も充填料込み4000円程のようでそんなにデメリットでもなさそう。
20気圧分が2000円増だと思えば安い (?)。それに一年に一度内部の点検をすると考えたら安心な気もします。
そんな感じで1週間程で耐圧検査から戻って来たタンク。
タンク初仕事は大会
初陣は「第弐号タシギ杯」という狩猟用エアライフルの大会でした。タシギ杯は今回初参加です。
プライベートな射撃大会ですが、参加者も多く、皆さんお上手。ハイレベルな大会だと思いました。
四姿勢を40分で10発ずつ撃ちます。その姿勢もプローン、シッティング、ニーリング、スタンディングというハンティングにおける実戦的な姿勢ばかり。難易度は高いですが、とても楽しい大会でした。
何より、色んな人とお会いできる楽しみがあります。場の空気も和気あいあいで、ちょっとしたお祭りみたい。
縁あって運営からお手伝いさせていただきましたが、皆で盛り上げようという雰囲気、イコールコンディションを目指したルール作りなどとても勉強になりました(ちょっとナンとか県営のエアライフル大会も見習って欲しいです)。
初めてのマイタンクは大活躍。こういった大会で息を上げずに空気を充填出来るのは空気タンクの最大のメリットではないでしょうか。
成績には残念ながら結びつきませんでしたが (泣)。次回は納得のいく結果が出せるようにまた練習を重ねたいと思います。
さて、空気タンクからエアライフルへ空気を充填するのにはMDEアダプターが必要ですが、これがなかなかお高い。普通に買うと僕のタンク本体より高いです。
ふくすけさんが使っていたアダプターがコンパクトで良かったので僕もそれを使うことにしました。本来ペイントボール用のようですが、圧力計も4500psiまでありますし、大丈夫でしょう。何より安いんデス、コレ。
あとはマイクロボアフィルホースとコネクターを買い足して運用する準備が整いました。アダプターに付属していたゲージが小さくて見難いので、部屋に転がってた圧力計を装着。
ここまでかかった金額です。
タンク本体 (某オークション中古 ) | ¥13,000 | |
耐圧検査 | ¥10,000 | |
塗装代 | ¥2,000 | |
アダプター | ¥1,700 | |
マイクロボアフィルホース | ¥2,700 | |
ニップル(貰い物) | ¥0 | |
合計 | ¥29,400 |
全部揃えても3万程で収まりました。送料と検査所までの高速代とガソリン代は含めてないので本当はもう少し掛かってますが。
ランニングコストも計算したいところですが、エアライフルに何回充填したか、記録を取るのを忘れてたので次回充填してからですね。
3万程の出費でポンプという重労働から解放されました。
射撃場で「空気足さなきゃ…」という、あの憂鬱な気持ちが無くなっただけで費用対効果は抜群です。シュッですよ、シュッ。
また、冒頭にも書いた通り、ポンプは壊れます。3000発撃つのに何万回ポンプしたのかわかりませんが、僕はこの一年でポンプのOHも2回やってます。
タンクは耐圧検査に合格する限り使い続けることが出来ます。しかもほぼノーメンテです。
射場でグリセリンぶち撒いたり、着いて早々壊れて途方に暮れるなんてこともありません。
ポンプを使っている方は是非この快適さを一度味わって欲しいです。
戻れなくなりますよ…