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再びイノシシを寝屋で獲りました
前回寝屋でイノシシを獲ったという記事を公開したばかりですが、娘を抱きつつ隙を見ながら書いていたので遅々として進まず、公開前に次のイノシシが獲れてしまうという始末。今回の猟は引き出しから解体までの過程において反省すべき点が多い猟になりました。
新しい生活が始まって初めての出猟
今月半ばに妻が娘と共に帰ってきました。
三人で始まった新しい生活、新生児のお世話と開眼した妻の母親っぷりに戸惑いながら、仕事と育児、家事を(怒られない程度に)こなして数日。
気がつけば猟期も残り一ヵ月、まさに光陰矢の如し。子供の成長もしかりで、出来ることなら常に一緒に過ごしたいところですが、男、いや父にはやらねばならぬことがある。
妻の顔色を窺いながら、出猟したい旨を請願するタイミングを見計らっていたのですが、「思っていたより役に立っている」というお褒めの言葉を頂いた折に懇願。
旦那ポイント消費して、無事出猟権を獲得しました。貯まるも没収も妻次第。いっそスタンプカード化して欲しい。
最初の獲物はキジ
初猟日以外で、こんなに猟へ行くのが楽しみだったのは初めてかもしれません。良い猟場が見つかったから尚更でした。
今回の猟場も、前回と同じ場所。猟場入り口の休耕田近くを走っていると、道ばたでキジがボーっと佇んでいるのを発見しました。
そういえば今期はキジをまだ獲ってません。
道の脇に車を止めて様子をしばらく伺いましたが、逃げる気配もない。よし、と銃を出そうと後部座席のドアを開けたら、慌てて休耕田の中へ逃げ込みました。
スレてなさそうな感じだったし、まだその辺にいそう。ガサッと二・三歩程、休耕田に入った途端、バタバタバタっとフラッシュ。
居るとわかって心構えができていると、当たるもんですね。久し振りに散弾でキジを獲りました。猟場につくなりお土産ができて嬉しい。
「キジが獲れた。今夜はキジ鍋にしようか?」
と、妻にメッセージを送って、忍び猟の準備。
今回の忍び猟はシカでもイノシシでも、チャンスがあれば獲るという、いつもの自由な感じで行きます。
そして、今回は2700MCで初めてスラッグ弾の運用をしてみることにしました。
Twitterのフォロワーさんから、イノシシの脂で弾が止まっていることがあると教えていただき、イノシシへのバックショットの威力に疑問が湧いたからです。
銃が痛みそうという懸念もあり、2700MCでスラッグを撃つのはなんだか気がすすみませんが、申請中の2700Dが手元に来るまでは致し方ないと思うことにしました。
イノシシの寝屋へ
ここの猟場は、奥に進むにつれてイノシシの気配が濃くなっていくような気がしています。イノシシゾーンへ入るまではシカを狙うつもりでした。
途中で木化けしたシカを発見したものの、距離的に当たるかどうか不安だったので見送ったのが一度目のシカチャンス。
急な斜面を登った先の広い尾根で、パッと見回した感じで何も居なさそうだったので、ハイドレーションから水をチューチューと吸い始めた途端、群れが目の前を横切ったのが二度目のシカチャンスでした。
なかなか撃つところまで至らないまま、イノシシゾーンへ到着。
僕がイノシシを寝屋で見つけるパターンは、陽当たりの良い、下るのを躊躇するくらいの急斜面で、広葉樹の根元や、落ち葉が溜まっているような場所です。しかも午前中限定。
似たような地形でも、樹木の生えてる密度が違うと全然いなかったりで興味深い。
イノシシを寝屋で見つけられるようになってわかったのは、
- イノシシは意外と起きないこと
- 起きても見つかったと悟るまでは動かないこと
- 見慣れれば割と簡単に見つけられるようになるということ
寝屋の場所がわかっていて、そこにイノシシがいるならば、シカを寝屋で獲るよりも難易度は低いと思っています。
寝てるイノシシは見逃さない自信があると以前もツイートしてますし、前回の記事でも書いてますが、そのくらい見つけやすいです。
そして、今回も寝ているイノシシを発見しました。ゆっくりと移動中、谷にチラリと見えた石に違和感。ゆっくりと双眼鏡で確認するとイノシシ。
そっと弾を装填して、頭に狙いを付けて一発。逃げ出さないのを確認して、更に止めの一発。これは前回の教訓から、念を入れて。
それでも、斜面を下りてイノシシの元へ辿りついたとき、まだ足をばたつかせていました。すぐに止めのナイフを入れて血抜き。
予想より大きかったイノシシ
血抜きをしながら目測よりも大きいイノシシだったと気付きました。
「これを一人で上げるのか……。」
獲物の回収は単独猟の悩みのタネかと思います。全部一人でやらなきゃならない。シカならその場で解体していたと思いますが、取る部分の多いイノシシなのでそうもいかず。
遠目だと40㎏程度のイノシシだと思ってましたが、60kgは越えてそうです。試しにいつも持ち歩いているパラコードで引っ張ってみますが、結構な傾斜角でビクともせず。
谷を転がそうかと下ってもみましたが、そこから20m下は絶壁。お肉が無残なことになること間違いなし。
仕方がないので転がらないように適当な木に足を縛り付けて確保。背負子システムを取りに車の位置まで戻りました。
大急ぎで往復しましたが、それでも40分程かかりました。
尾根まで引き上げるのに1/3倍力システムを構築しましたがすごく重い……。
いっそこの場で解体してしまおうかと思いましたが、新兵器も使いたいし、イノシシはちゃんと処理したいというこだわりがあります。
その場で解体を最後まで悩みながら、25m上げるのに1時間程格闘して、ようやく尾根の上へ。
丸ごと背負子に積もうと思いましたが、ちょっと無理。腹出ししてポリ袋にイノシシを入れ、背負子に積んで荷締めベルトで括り付けました。
それにしてもこのポリ袋は丈夫です。このイノシシを入れたまま持ち上げても破れませんでした。
自衛官の頃のおかげで重たい荷物は背負い慣れてますが、このイノシシはなかなかの重量。なにか色々と思い出しました。
重量物を背負っているとなんともないような傾斜で足を滑らせたりすることがあります。スパイク長靴でもズルズル滑ります。
下り斜面では無理をせずロープで補助を取りながら下りました。なんだこれ、何の訓練だ。
約1kmを小一時間かけて下山。獲ってから3時間経過して沢に到着。冷やしているうちに解体場所の選定と、水分補給してほっと一息。そして妻にメッセージ送信。
「ごめん、イノシシ獲れちゃった。帰り遅くなる。」
……既読スルー。
急がねば!
そして解体
イノシシを沢から上げて、スリングとカラビナ、パラコードで吊り上げて解体開始したころにはすでに夕方。あたりは薄暗くなってました。
さて、ここで新兵器の登場。
ポータブル高圧洗浄機!こいつでイノシシについた土やダニを落として綺麗にしてから解体するんです!
これが使えればより衛生的にお肉を解体できるはず。
前回イノシシを獲った時に欲しいなぁと思っていたら、ホームセンターで見かけて衝動買い。キミの実力を見せてくれ!
……先っぽのノズル忘れました。
水タンクも用意して、セッティングまでしたところで発覚。本気で凹みました。試しに水出してみたけど水鉄砲のほうがまだ水圧ありますネ。
頑張って苦労して搬出した理由の半分の意味がなくなりました。ツライ。
凹んでてもお肉にはならないので、ポリタンクの水で気休めに洗って作業開始。
背負子システムの作業灯とヘッデンの灯りを頼りに皮を剥いでいきましたが、引き出しのときに握力を使い果たしたようで皮がうまく引っ張れません。
なるほど。そういうこともあるよね~と、思いもよらぬ反省点。感心したところで上手に削げない脂。ツライ。
皮に残った脂を恨めしく思いながら、大バラシしてゲームバッグの中へ。残滓を埋めて片付けをしたらすでに19時半を回ってました。
急いで帰宅して、妻に平謝り。素っ気ない妻の態度で旦那ポイントを使い切ったことを悟りました。
いや、マイナスか。
搬出方法に工夫が必要
今回の猟で、一人でいくら引っ張っても上がらないようなイノシシでも背負子で担げばなんとかなるということがわかりました。
本当は目測を見誤らないのが一番なんですが……。
より安全に作業と引き出しができるよう、ハーネスやらクライミングロープやらアッセンダーやらを買い足しました。次にいつ使う機会があるかわかりませんが、そのうち役に立つでしょう。
どうしてもダメってときのためにこんなのも。
少しずつしか上げられないけど、最後の手段にはなりそうな気がしています。
車が嵌まったときも木とかが近くにあれば役に立ちそう。ということで常備してます。
終わってからも苦戦した猟でしたが、自分の限界も垣間見えて勉強になりました。
獲物を回収することばかり考えてましたが、後の解体の体力も残して置かないといけませんね。
反省は多いけど、良い猟でした!