2017/11/17
天候:晴れ 気温:5.7℃/9.4℃
最多風向:北 平均風速 :1.1㎧
Contents
単独猟
狩猟解禁日は巻狩からのスタートでしたが、17日は単独猟。巻狩も面白いですが、僕の基本は単独猟です。気ままに山を歩いてるだけで楽しい。
いつもの山へ到着、いそいそと準備をし、銃を担ぎました。
うーん、良い。このワクワク感は巻狩とまた違いますね。今日が僕の本当の解禁日。
今期もよろしくお願いします、と心の中で山にお願いし、何処から攻めようか悩みます。
猟期前の下見で獲物の気配が濃かった場所に行くか。それとも、まずは様子見で渉猟するか…。
悩んでいると、一台の車が近づいてきました。
車内を覗くと、よく見るオレンジ帽子とベスト。ここで他のハンターと出会うのは珍しい。
「おはようございます」とお互いに挨拶。ポインターが後部座席に座ってました。「鳥猟ですか?」と尋ねると、猟場の奥にある原っぱにキジを獲りに来られたとのこと。
2人でイノシシ猟をした場所です。
お互いの安全の為、あそこまで行くのは控えた方が良さそうです。僕の行動予定も大まかに伝え、行動範囲が被ってないことを確認。少し世間話をして別れました。
まずは待ち伏せ
鳥猟ハンターさんに、前日に下の原っぱでイノシシに出会ったという情報も貰えたので、とりあえず近辺へ向かいます。
その原っぱは毎年イノシシの痕跡がすごいのですが、草の背丈が高くてなかなか姿が視認出来ない場所です。ひょっとして、猟期前の下見で行った場所なら一望できるのでは?と思い、行ってみると予想通り。
単独猟の初猟はこの場所で待ち伏せに決定。
僕が待ち伏せする時は、まず監視する範囲を決めて、目標を作ります。目標を範囲内で等間隔に設定し、それを順々に監視。
自衛隊で習った立哨要領の応用です。
今期からはレンジファインダーを導入したので、予め距離を測定しておきます。こうすることで、不意に現れた得物にも対応出来るはず。
口を開けてボケ〜っと待ってると、草むらの中で何かが動いた気がしました。双眼鏡で確認してみると、イノシシがノソノソと歩いてます。
ゆっくりと銃に持ち替え、スコープで捉えます。大きい…、すごく大きいです。
ここで気付いたんですが、目標に設定した木までの距離が130メートル。更に奥なので150メートルはありそうです。
MSS-20での射撃は100メートルまでしか撃ったことがありませんし、中ったところで倒せるだけの威力があるかも疑問。
結局、引き金を引くことなく動向を見守ります。
近くに来てくれることを祈りますが、右手のボサに姿を消しました。
気をとり直して、再び口を開けて待ちます。
3時間程経過した頃、今度は足元の竹藪を何かが移動してます。恐らくイノシシ。崖下で姿が見えないのでゆっくりと稜線の奥に移動し、先回りしました。
この辺りなら見えるかなー?と下を覗こうとしたら、気取られたのか大きな音を立てながら逃走。
なかなかうまくいかないもんです。
時間は14時。ついでに車に戻り、休憩。次の作戦は、待ってだめなら歩く。渉猟です。去年の今頃、どこで出会ったか思い出しながら、歩き始めました。
続いて渉猟
歩き始めて20分が経過。何かが笹薮を移動する音が微かに聞こえました。
足音が小さいので最初はキョンかと思いましたが、ポリポリと噛み砕く音。付近を見るとドングリの実が落ちてます。笹薮の中でイノシシがドングリを食べてるようです。
ゆっくり静かに、笹薮の縁まで移動。足音と咀嚼音から、少なくとも3〜4頭はいそうな気配。
しかし姿は見えない…。
この次の行動で悩みます。いつもは見えるところまで入っていくのですが、藪に入るとどうしても音が出るので、大抵手前で逃げられるか、運良く姿を見ても構えてる間に逃げられます。
ここは入りたい衝動を抑え、スコープの倍率を2倍にして、姿が見えるまでじっと待つことに。
見えない、見えないと思ってましたが、よく観察すると、時々笹の天辺が揺れることに気付きました。その根元にイノシシが居ることは明白。
試しに屈んでみましたが、屈んだほうが見えにくい。立射の姿勢で、揺れる笹の根元を監視します。
ベストに付けたポーチに依託してますが、それでも長時間は辛い。
5分経ったか、10分経ったか。手前の方の笹が揺れました。スコープで覗いたまま、ゆっくりと銃を向けてみると、待ち望んだイノシシの姿が。
目の若干後ろを狙い、ゆっくりと引き金を絞る。
パーンという乾いた音が山中に響きわたり、軽い耳鳴りで聴力が奪われました。しかし、M870程ではない。ズザザザと音を立てて、笹薮の中をイノシシ達が逃げて行きます。
「外した…?」と思って銃を下ろすと、バタバタと何かが暴れている。駆け寄ると、小さいイノシシが倒れてました。
撃つ直前にイノシシが少し移動したので、狙点はズレましたがバイタルに。急いで血抜き。
距離を確認すると、7メートル程。小さいイノシシですが、嬉しかった!しかもMSS-20で初めての獲物です。
腹出し、皮剥ぎ、そして解体
獲ったからには処理しないといけません。近場の水場で処理しようかと思いましたが、僕の技術力では途中で日が暮れてしまいます。
ダメ元でグループの解体場を使わせて貰えないか尋ねたところ、了承をいただけたので急いで搬送。
メンバーの方達が先日獲れたイノシシ肉を丁度解体されてる最中だったので、教えて貰いながらチャレンジ。
巻狩で獲った獲物は皆で分配しているので、経験の浅い自分は手を出し辛く、遠慮がちに眺めてることが多いです。
今日は自分で獲った獲物、失敗を恐れずに挑むことができます。
やってみた結果、反省点はあるものの前猟期よりは早く、そこそこ綺麗に皮を剥げるようになりました。
解体もゆっくりやってみたかったので、自宅に持ち帰りフネの中で解体。獲物が小さいとこんな利点がありました。
幸先良い結果に満足
単独猟一発目からイノシシが獲れるなんて今までなかったので、何か運を使い果たしたんじゃないかという気もしなくもないのですが、とりあえず獲れて良かった。
あそこでいつも通り藪の中に入っていたら、獲れていなかったかもしれない。前猟期の失敗が活かせたようで、ちょっと成長した気分になりました。