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2019年1月18日(金)
出猟時間 | 7:00〜12:15 |
天候 | 晴れ |
最低気温/最高気温 | -3℃/10℃ |
最多風向/平均風速 | 北北西 2.9m/s |
使用銃 | MSS-20 |
この日は猟友のヤスさんと出猟です。特に計画もなく、あの山行ってみましょうか〜とゆる〜いノリで出猟。
シカ狙いで日の出とともに入った山では、二人で忍び猟。二人とも発砲の機会はあったものの、外してしまい獲物はなし。
気を取り直して、二つ目の山へ。
忍び猟でイノシシの寝屋を襲う
ここの山で前猟期、寝ていたイノシシを仕留めそこないました。
個人的にイノシシの寝屋を単独忍びで攻めたかったのもあり、ヤスさんには谷でタツについてもらうことにしました。
僕は忍び猟で獲物を狙う。タツのヤスさんは、僕が起こした獲物、逃がした獲物を狙うという方法。
この方法は何度かやりましたが、獲物がゆっくり逃げるようでタツの人も狙いやすいとか(僕はタツやったことがないのでわからないのですが)。
無線機でやりとりをしながら、僕の進行に合わせてタツも移動してもらいます。
途中、2回ほどシカが飛んだので無線で報告。そのうちの1頭がヤスさんの方へ行ったようですが、ボサで良く見えず発砲には至らなかったそうで。
寝屋の近くに到着したので、無線にはしばらく応答出来ない旨を伝えて、イノシシの寝屋に潜入開始。
寝屋は尾根から少し下
ここの尾根沿い約300メートルの間に、イノシシが寝屋があります。南向きの陽当たりが良く、かなり急な斜面に点々とある、わずかに平らな部分を寝屋にしています。
普段より更に慎重に歩きつつ、双眼鏡をこまめに覗きながら前進します。
木の根元、落ち葉の吹き溜まり、地面が抉れて陰になったような場所を重点的に観察しながら、200メートル程進みました。
前猟期に逃した場所の付近に着いたので特に注意して探します。
約40メートル下を双眼鏡で探していると、何やら違和感のあるものが飛び込んできました。毛むくじゃらの巨大な塊があります。
熊っぽい……
イノシシにしては大きすぎる。でも千葉に熊はいません。裸眼で見たらただの影にしか見えませんが、何か生き物なのは間違いない。
もう一度、しっかり双眼鏡で確認。
大きめのイノシシが三頭、寄り添うように寝ているとようやく理解しました。
イノシシ発見!そして……
見つけた瞬間、ブワッとアドレナリンが駆け巡るのがわかりました。
一気に高鳴る心臓。と、同時に前猟期の失敗が脳裏に蘇り、急に冷静になりました。
(こっちには全然気付いてないようだし、よく観察してみよう。)
3体の個体を見比べてみます。手前で寝ているのがとりあえず一番大きそう。折り重なるように寝ているので、狙うのにも手前の個体が無理がなさそうです。
冷静に観察している間に、緊張もほぐれました。銃を構え、スコープを覗き、静かに息を吸う……。
谷に銃声が鳴り響くや否や、走り出す黒い影達。次弾を装填しようとボルトを引き、排莢するわずかな間に見えなくなっていました。
と同時に背後でもバキバキと凄まじい音!びっくりして振り返ると大きなイノシシが2頭、反対側の斜面を走って行きました。そっちにもいたとは!
(おっと、撃った獲物!)
再び視線を目の前の谷へ戻すと、イノシシが足をバタバタさせているのが見えました。狙ったのは頭だったので仕留めたと確信。
ヤスさんに伝えようと、無線機のマイクに触れたあたりで暴れたイノシシがゴロゴロと斜面を転がっていき、見えなくなりました……。
転がるイノシシを追って、斜面を下りながら無線でイノシシを撃ったことを報告。でもイノシシが寝ていた場所から20メートル、30メートルと下りましたが見つかりません。
(おかしい……。そんな下まで転がるか?)
途中で棚になった場所もあったのですが、見当たらない。
(まだ動いてる?……もしかして半矢?)
不安になりながら更に下ったところで——見つけた!
と同時に、フラフラと立ち上がるイノシシ。
ゾ、ゾンビイノシシ?
おぼつかない足取りですが、明らかに逃げようとしてます。
致命的なダメージがあるのは間違いないのですが……。
弾を装填し、距離を詰めます。再び頭を狙いますが、角度が悪くてお尻を撃ってしまいそう。
慌てて撃たず、チャンスが来るのを待ちます。目の前の藪に逃げられる前に仕留めたい。
間もなく、イノシシが後ろを気にするかのように振り返ったので、そこを狙いました。
側頭部に一発で倒れたので、止め刺しと放血。
タテガミが立派だったので、オスかと思いましたがメスでした。
久し振りの大物に大興奮です。しかもメス!なんとしても丸ごと持って帰りたい!
反対側の谷にいるヤスさんが応援にくるまで大人しく待ちます。その間、およそ30分ほど。ようやく到着したヤスさん、獲物の場所にゲンナリ。
現地解体案がヤスさんから上がりましたが、断固拒否。
谷から引っ張り上げるより、もう少し谷を下れば林道に出るのでそちらの方が早そうです。内蔵だけその場で出し、木の棒で担いで林道を目指します。
憧れのアレができました。お肉が汚れないのはいいですが、ユラユラ揺れるイノシシが背中に当たり、自分の服が血まみれになるので注意が必要です……。
ゼイゼイ言いながら、やっとこさ林道に到達。ヤスさんの軽トラに積んで離脱。獲物を冷やしてる間に昼食をとり、その後ヤスさん宅で解体させていただくことになりました。ヤスさん様々です。
初弾は頭部に命中していた
さて、解体中に気になったこと。写真の通り、初弾はイノシシの頭部に当たっていました。なのになぜイノシシは動けたのか……。
解体していたらイノシシの首の辺りから、砕けた弾頭が見つかりました。傷跡を辿って推測するに、後頭部に当たった弾がそのまま頭蓋を滑り、砕けながら首の辺りまで到達したようです。
そういえば今使っている弾頭、硬い物に当たるとマッシュルーミングしないって書いてあった気がします。
今回はほぼ真上から撃ちましたが、確実なヘッドショット・キルを狙うなら、上でも横でも目の近辺を狙ったほうが良さそうです。
一撃で倒せなかったのは悔やまれますが、理想的な猟でした。
こんな寝屋をあと2つ3つ抑えておきたいところです。
なにはともあれ、とても美味しいお肉になりました。
「ちゃんと解体したい!」というわがままを聞いていただいた上に、場所まで提供していただいて。ヤスさん、ありがとうございました。