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2016/12/4
天候:晴れ 気温:7.9℃/15.8℃
風向:北西 風速:1.6㎧
27年度の猟期は山梨で初の獲物として鹿を忍びで獲った後、千葉では猪を単独忍びで狙いました。
何度か矢をかけましたが、捕獲には至らず悔しい思いをしました。
28年度は猟期が始まって間もなく念願の猪を捕獲し、僕は有頂天。初のイノシシ捕獲から4日後の話です。
この日は猟友のYさんと共猟です。僕が猟銃の所持許可申請を出したときに彼と知り合いました。
その後の狩猟試験も一緒に受験し、年齢も近く、気も合ったので前年度は一緒に何度か出猟しました。
僕は諸事情により狩猟免許を取得した年は狩猟者登録をしなかったので、狩猟経験はYさんの方が1年先輩。
Yさん、この頃は仕事が激務で「今月の休日は全部出勤する」という条件でようやく手に入れた休みです。
これはなんとか何か獲らないと!まだ12月が始まって4日目なのに全ての休日をBETした相手が僕だなんて。かなりのギャンブラーです。正直すごいプレッシャーです…。
僕「折角休み取れたんですもんね。鴨なら獲れそうですけど、どうします?」
Yさん「イノシシやりましょう!」
僕「…獲れない可能性の方が高くないですか…?」
Yさん「イノシシやりましょう!!」
…という本人の強い希望でイノシシを狙うことに。
この時僕が通っていた猟場はほぼ毎日イノシシと遭遇していました。
ですがよく遭遇するのは夕方、日没1~2時間程前です。
そこに賭けてもいいですが、せっかく時間もあるし確率はあげたい。
ということで、少し前から考えてた作戦を実行してみることに。
僕は猟期の半分近く出猟して猟場を散歩しているのでいくつか寝屋の場所は見当がつきます。
その中でも比較的よくイノシシを見かけた近辺の寝屋へ向かいます。
そこで、「人が犬の代わりにイノシシを寝屋から追い出す作戦」です。そのまんまです。
犬を使って寝屋から起こすやり方が普通ですが、昔は人が音を出して追い立てていたと見聞きしたことがありました。
(今でもそのやり方で猟果をあげている猟隊もあるとか)
寝屋がわかっていれば、あとは簡単。人が寝屋から追い出すだけ。シンプルな作戦です。
実行に移す前に簡単に打ち合わせしました。
僕達が注意したこと
1.誤射の危険
追い出し役が藪に入ると、お互いの姿が確認できません。
追い出し役の進行方向に待ち伏せが立たないように位置取り、追い出し役はイノシシが向かって来るような状況でない限り極力発砲を控える。
当たり前ですが、待ち伏せ側は獲物を完全に視認してから発砲します。
2.イノシシの逆襲
びっくりしたイノシシが向かってくる可能性もあります。近距離での射撃の技術も必要です。
このとき、僕のレミントンM870は1.75-4倍のスコープが載ってました。
近距離用のスコープといえど向かってくるイノシシに中てる技量は持ち合わせてないですし、藪漕ぎをスコープ付きでやるのはストレス大です。
なので勢子はオープンサイトの自動銃のYさんにお願いすることに。
A地点に僕、B地点にYさんが位置取ります。Yさんの進行方向は赤矢印。僕は青矢印の方向を確認。
作戦開始
位置についたYさんが手を挙げたのでこちらも手を挙げて合図を送ります。Yさんが藪に入って行きました。
さて、うまくいくか…
…
……
………静かです。ヒヨドリが鳴いてます。Yさんの藪漕ぎの音も聞こえません。
流れる雲を見つめていたら、突如「起きたよー」という声。
「えっ?何か言ったかな?」と声がした先を見ると、藪からイノシシが嫌々そうに出てきて原っぱを歩いてました。
距離は50m程でしょうか。すかさず狙って発砲。でも中ったのか確認出来ないままイノシシは竹ヤブに逃げ込んでしまいました。
イノシシの後を追いつつも、あまりにあっさり追い出すことが出来たので、変な笑いがこみ上げてきてしまいました。
Yさんが中ったのを確認していましたので、躊躇せず竹ヤブを追います。
その時の動画がこちら。
※閲覧注意
血痕と音を頼りにイノシシの後を追いますが、なかなか止まってくれません。バイタルは外してしまったようです。この先は崖なので、下りられると厄介です。
すると崖の少し手前でイノシシがこちらを向いて止まっていました。後から確認してみたら、弾は腰辺りを貫通していたので崖を下りるだけの力が入らなかったのでしょうか。
今度は頭をよく狙って撃ちます。
放った止め矢は右頭部に命中するも、まだ動いています。
後を追って来たYさんに止めを託し、捕獲完了です。60kg程(多分)のメスでした。
猟場に到着してから17分で決着、Yさんが藪漕ぎを始めて5分も経たず終わりました。
これほど上手くいった猟は初めてです。
二人で大興奮しながら藪から引き出しました。興奮しすぎて車が脱輪しかけました。
後日、もう一度試してみたかったのですがYさんとの都合が合わず実行には至りませんでした。少し工夫をするなら安全性を考慮して、勢子に風船を繋げて位置が確認できる「ピグモン作戦」とか、藪の外からエアホーンを鳴らして起こす「寝起きドッキリ作戦」もいいかもしれません。
しかし、犬を使わないのでお手軽感はありますが、実行する場合はある程度の経験が必要です。
藪漕ぎしている追い出し役を獲物と誤認する可能性も、巻狩より高いかもしれません。
経験年数が浅いとはいえ、二人とも出猟回数もそこそこあり、獣の姿も見慣れています。そして何度か共猟していてお互いの技量を知って信頼しているから出来たことです。
思い至った経緯が新米ハンターの僕が、なかなか巻狩りグループが見つからず、
「じゃぁ人が犬役やればいいじゃん」ですので、念押ししておきます。
この1週間でイノシシを2頭確保したために単身の小さい冷蔵庫はすでにいっぱい。冷凍ストッカーが届くまでしばらく出猟することができませんでした。